税理士がfreeeで経理して感じたクラウド会計ソフトのメリット・デメリット

税理士がfreeeで経理して感じたクラウド会計ソフトのメリット・デメリット

私は「クラウド会計ソフトに強い税理士」として活動しており、多くのお客様のクラウド会計ソフトの導入サポートを行ってきました。

当然、お客様にオススメする前に自分の事務所もfreee というクラウド会計ソフトを使用して日々の経理を行っています。

そこで今回は、お客様の経理をサポートする税理士としての立場ではなく、1人のユーザーとしてメリット・デメリットを考えてみました。

クラウド会計ソフトの最大のメリットは圧倒的な経理時間の短縮

クラウド会計ソフトを使用することによる最大のメリットは「圧倒的な経理時間の短縮」この一言に尽きます!

私の事務所の経理の場合だと、1ヶ月分の経理に費やす時間は10分程度なので、従来のインストール型の会計ソフトのおよそ5分の1以下でしょうか。

  • 「本当に1ヶ月分の経理が10分でできるの?」
  • 「税理士だからできるんじゃないの?」
  • 「そもそも経理しなければならない量が少ないだけじゃないの?」

なんて声が聞こえてきそうですが、これぐらいのレベルであれば割と簡単に実現することができます。

クラウド会計ソフトを導入してうまく使いこなすことができれば、面倒な経理を短縮することもできますし、もしかすると、税理士に記帳代行をお願いしなくてもよくなるかもしれません。

 

クラウド会計ソフトの3つのメリット

私が事務所の経理時間を極限まで短縮できているのは、クラウド会計ソフトの3つのメリットをうまく活用しているからです。

以下の3つのメリットを全て駆使すれば、あなたの経理も圧倒的に時間を短縮することができるかもしれません。

インターネットバンキングの連携

クラウド会計ソフトとインターネットバンキングを連携することで、日々の銀行取引を会計ソフト内に取り込むことができます。

さらには、その取り込んだ取引を仕訳の形にすることもできます。

つまり、この機能を利用することにより銀行口座を会計ソフトに入力するという作業を省略することができるのです!

これが圧倒的な経理時間の短縮を実現できる一番の理由です。

ほんの数クリックで1ヵ月分の銀行口座の入力作業を終えてしまうことができます。

ただし、1つ1つの取引についてどの勘定科目を使用するのかを設定する必要がありますので、クラウド会計ソフトを導入するだけで経理にかかる時間が短縮できるという訳ではありません。

例えば、1/15にNTTドコモへ10,000円の支払という取引について、通信費として処理をするという設定をしておきます。

すると、

  • 1/15 通信費 10,000 / 普通預金 10,000 NTTドコモ

という仕訳が自動的に作成されます。

そして、一度ルール設定した取引については、次回以降は何もしなくても自動的に仕訳をしてくれるという優れものです。

  • 2/15 通信費 12,000 / 普通預金 12,000 NTTドコモ
  • 3/15 通信費 11,000 / 普通預金 11,000 NTTドコモ
  • 以後は設定を変更しない限りずっと自動で仕訳してくれる

このように、地味な作業の積み重ねではありますが、ルール設定をすればするほどクラウド会計ソフトの威力を発揮することができます。

このあたりは従来のインストール型の会計ソフトにはなかった画期的な機能と言えるでしょう。

クレジットカードの連携

インターネットバンキングの連携と同じく、クレジットカードについても連携することができます。

つまり、ルール設定さえしておけば「クレジットカードを使用=経理は完了」ということになります。

私は、この機能を最大限に活用するために、現金の支払いを極力避けてクレジットカードで経費を支払うようにしています。

要は、クラウド会計ソフトを使いやすくするために取引自体をソフトに合わせていくということです!

こうすることで、領収書を見ながら経費を入力するという作業をする必要がなく、経理にかかる時間を大幅に短縮することができます。

もちろん、決算や確定申告の間際になって焦ることもありません。

もしかすると、ここが一番経理を楽にしてくれているのかもしれません。

請求書の発行・売上高の計上・入金の確認・売掛金の消し込み

請求書の発行については、専用のソフトを利用したりExcelでフォーマットを作成していることが多いです。

しかし、それらと会計ソフトを連携させることはなかなか難易度が高く、実現できている人はほとんどいないでしょう。

その点、クラウド会計ソフトの請求書発行機能を使用すれば「請求書の発行→売上高の計上→入金の管理→売掛金の消し込み」までの作業を簡単に行うことができます。

売上高に関する一連の流れ

  1. ABC商事100,000円という請求書を発行
  2. 売掛金 100,000 / 売上高 100,000 ABC商事という仕訳が自動的に作成
  3. ABC商事よりインターネットバンキングに100,000円入金
  4. 入金待ちの請求書を入金済みに分類して売掛金の消し込み
  5. 普通預金 100,000 / 売掛金 100,000 ABC商事という仕訳が自動的に作成

こうすることにより、請求書を発行するという1つの作業を行うだけで、売上に関する一連の経理処理を全てまかなうことができてしまいます!

さらに、

  • 売上高の計上漏れ
  • 売掛金の消し込み忘れ
  • 未入金取引の確認忘れ

などの経理のミスを軽減することにも繋がるため、まさに一石二鳥の機能であると言えるでしょう。

私は毎月末にお客様に請求書をメールで発送する以外のことはしていませんし、その請求書も自動で作成してくれますし、メールもあらかじめ登録しておいたお客様のメールアドレスにワンタッチで送信するだけの状態になっています。

あとは期日までに入金があるかどうかをチェックするだけで終わりなのでとても簡単です。

 

クラウド会計ソフトの3つのデメリット

ここまで、税理士としてクラウド会計ソフトを利用してみて感じたメリットについて述べてきました。

しかし、メリットと同じくデメリットも残念ながらありました。

このデメリットを解消・許容できるのであれば、クラウド会計ソフトを使用する価値は十分にあるのではないでしょうか。

とにかく動作がモッサリしている

クラウド会計ソフトの最大のデメリットは、とにかく動きがモッサリしているということです!

これは致命的なデメリットです。

いくらインターネット環境を改善したところで、どうしても通信時間が発生してしまうためインストール型の会計ソフトを使い慣れた身としてはあまりに遅すぎるというのが正直な感想です。

メリットでは「圧倒的な経理時間の短縮」と言っていますが、実際にソフトを使用している瞬間だけは非常に効率が悪いです。

クラウド会計ソフトの機能については気に入っていますが、使い勝手という意味ではまだまだ改善の余地があるでしょう。

ただし、これはあくまで経理・税金のプロである税理士としての意見・体感であり、一般のユーザーにとっては十分に許容できる範囲なのかもしれません。

各種サービスとの連携が前提条件

クラウド会計ソフトは各種サービスと連携してはじめてその効果を発揮することができます。

  • インターネットバンキング
  • クレジットカード
  • 電子マネー
  • レジシステム
  • 請求書

これらのサービスと連携しなければ、ただの動きがモッサリした使えない会計ソフトに成り下がってしまいます。

クラウド会計ソフトを使用しても効果が薄いケース

  • インターネットバンキングを使用していない
  • 経費の支払いは現金ばかり
  • 小切手・手形を使った取引が多い

このような場合には、クラウド会計ソフトを使用する意味はほとんどないでしょう。

自分に合ったカスタマイズが必要

クラウド会計ソフトは、各種サービスとの連携及びそれに伴ったルール設定ができてはじめてその効果を発揮することができます。

つまり、自分に合ったカスタマイズが必要というわけです。

そして完璧なカスタマイズをするためには、一定の経理レベルが必要となるため、ほとんどの一般ユーザーが使いこなせていないというのが現状です。

中途半端なルール設定は、余計に経理を難解で複雑にしてしまうため逆効果になってしまうことも多々あります。

クラウド会計ソフトの効果を最大限に引き出すためにも、一度税理士などにカスタマイズしてもらうことをオススメしています。

そうすれば私の事務所のように、1ヶ月の経理にかける時間が10分というのも決して夢ではありません。

 

オススメの業種・オススメしない業種

このようにクラウド会計ソフトには、メリット・デメリットの双方があるため、うまく見極めてから使用しなければなりません。

そこで、税理士として自分自身が使用した経験、お客様の導入・運用サポートをしていくなかで、クラウド会計ソフトの使用をオススメする業種・オススメしない業種をまとめてみました。

オススメの業種

  • ひとりビジネス
  • 比較的少数(10人程度)のビジネス
  • 店舗ビジネス(レジシステムの連携)
  • インターネットビジネス
  • サービス業
  • 不動産賃貸業

これらは比較的クラウド会計ソフトと各種サービスを連携しやすいため、導入をオススメしやすい業種です。

また、ある程度形が決まった取引が多いため経理との相性も良いでしょう。

オススメしない業種

  • 不動産販売業
  • 製造業
  • 当座預金(小切手)をメインで使用している
  • 手形を使った取引が多い

このような場合には、クラウド会計ソフトを導入してもほとんど効果を得られないでしょう。

各種サービスとも連携できず、消費税・原価計算などの経理が複雑になるため従来のインストール型の会計ソフトの方がスムーズに経理を進めることができます。

 

まとめ

クラウド会計ソフトはとても便利なソフトではありますが、万能ではありません。

ただし、ハマれば絶大な効果を発揮してくれることは間違いありません!

導入にあたってはいくつか条件はありますが、ひとりの税理士として、事業者として今後もうまく使いこなしていくつもりです。

 

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